演者

狂言の主役を演じる人を能と同じく「シテ」と呼び、シテは主役であると同時にその番組の演出家の役割も果たします。
また、シテの相手役を勤める脇役を「アド」と呼び、語源は人を率いる意味の「あどもふ」や、挨拶して応答する意味の「挨答」(あいとう)がなまったものなど様々な説があります。また同じような性格の者が一群となって登場する場合は立衆(たちしゅう)と呼び、統率者を立頭(たちがしら)と呼びます。


狂言の流派


現在は大蔵流と和泉流しか残っておらず、 大蔵流は東京・関西に、和泉流は東京・名古屋に主な地盤を持ち、一般的には家柄単位で演じられます。芸風は流儀よりもその土地柄や役者の個性に左右されるところがあります。

和泉流 芸風は歌謡的要素が現代的で叙情性が豊かで、狂言の型を尊重した柔らかい都会風の狂言と評されている。
●和泉流+三宅藤九郎家(東京)、狂言共同社(名古屋)、野村万蔵家(東京)、野村又三郎家(名古屋)
大蔵流 東京の大蔵流は格調を重んじた芸風。関西の大蔵流はくだけた芸風と評されている。
●大蔵宗家(東京)、茂山千五郎家(京都)、茂山忠三郎家(京都)、善竹家(関西・東京)、山本東次郎家(東京)


■登場人物

狂言の登場人物は身近な親しみのおける普通の人々です。殿様や大名も出てきますが、だいたい家来にバカにされたり、ドジだったりします。いずれもどこか憎めない愛すべき人物たちで現代人と共通するところが多くあります。



太郎冠者

大名

山伏

太郎冠者

次郎冠者
狂言では従者、召使の身分を表し、大名・主に仕えるものの役柄。
狂言の中でも最も親しみやすく、明るく酒好きでずるがしこいユーモアあふれる人物。
大名
狂言に登場する大名は荘園の領主クラスで格があまり上ではなく、 いつの時代にもいそうな尊大な人物が風刺されている。太郎冠者にだまされたりドジな所がある。
山伏

僧侶
無学なくせに知識をひけらかしたり、斜に構えているようで実は物欲・金欲の亡者。
(人の心理を笑いにした狂言は、宗教者もその対象となる場合がある。)

※この他すっぱ(詐欺師)、鬼、物の怪など15、6種類の物に統制されています。
いずれも狂言独特の解釈で描きだされています。



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